後続の騒音シミュレーション(第11章)で「海岸に届く音の大きさ」を計算するには、まず出発点として「風車そのものがどれだけの音を出すか」(すなわち音源レベル)を把握しなければならない。本章では、実際のメーカー公表データと国際的な環境影響評価報告書に基づいて、いすみ市沖に設置が想定されている大型風車(12〜18 MW級)の音源レベルを導出する。
18MWクラスの超大型風車が発する騒音は、単純な「風切り音」ではない。全長260 mを超える巨大構造物が回転することで、以下の3つの異なる物理現象が重なり合い、1基あたり約120 dB(推定値)という、ジェットエンジンに匹敵する音響エネルギーが放出される。いすみ市沖計画では12〜18 MW級の複数機種が想定されているが、音が発生するメカニズムはいずれも共通であり、出力規模が大きいほど音も大きくなる。
ブレード先端の空力騒音(Aerodynamic Noise)—風を切る音
発生源: ブレード(羽根)の先端部分
メカニズム:
全長100mを超えるブレードの先端は、時速300km以上(新幹線の最高速度に匹敵)で空気を切り裂く。この超高速移動が空気と激しく摩擦し、高周波の「シュッシュッ」という切削音(乱気流音)を連続的に発生させる。
特徴:
これは3つの音源の中で最もエネルギーが大きく、風車騒音全体を支配する主要因である。
タワー通過時の圧縮音(Tower Interaction / Thumping)—「ドォン」という衝撃音
発生源: ブレードがタワー(支柱)の正面を通過する瞬間
メカニズム:
巨大なブレードがタワーの前を横切る際、タワー表面の空気が急激に圧縮され、その後一気に開放される。これにより「ドォン!」という衝撃波に近い圧力変動が生じる。
特徴:
これが「振幅変調(AM音)」の正体である。心臓の鼓動のように規則的に繰り返す低周波パルスであり、空気に吸収されにくく、遠くまで到達する最大の要因となる。いすみ市沖のように数十基が並ぶ計画では、各風車の回転速度がわずかに異なる(風速や制御応答の微小な差による)ため、各基からのパルスが不規則に重なり合い、間欠的に強め合う「うなり」のような現象が生じる。この不規則な脈動は、単一基の規則的なリズムよりも人にとって不快に感じられやすい。聴取者がリズムに慣れる(順応する)ことができないためである。
ナセル内部の機械音(Mechanical Noise)—発電機のうなり
発生源: プロペラ中心部のナセル(発電機・増速機が収められた箱)
メカニズム:
内部の巨大な発電機やギアが回転する際の「ウィーン」「ゴゴゴ」という機械的な唸り音である。12〜18 MWという膨大な電力を生み出すため、その振動エネルギーは非常に大きい。
※風力発電機の主要な構成要素の名称については、図1を参照。
風車がどの周波数でどれだけの音を出しているかを分析するには、周波数帯域ごとの音響パワーレベル(スペクトル)が必要である。本検討では、エストニア沖合風力発電計画に関するRambollの低周波音評価報告書において参照されているVestas Wind Systems A/S公表の技術文書「V236-15 MW Third octave noise emission (DMS 0105-2594_00, 2021-04-14)」に記載された1/3オクターブ帯域別音響パワーレベルを基準スペクトルとして用いた(図5参照)。
当該データはメーカー公表値に基づくものであり、最大出力条件(地上10 m基準風速約11 m/s)に対応するスペクトルである。同報告書では、メーカー公表値に+2 dBの安全側補正を加えた値(すなわち\(L_{WA} = 120\,\text{dB(A)}\))を予測計算に使用している。本検討でも、この安全側補正を含む\(L_{WA} = 120\,\text{dB(A)}\)のスペクトルを基準として採用した。
Vestas社のカタログ公表値は以下の通りである:
音響パワーレベル (\(L_{WA}\)): 118 dB(A)(定格出力時、地上10 m基準風速11 m/s)
測定条件: IEC 61400-11規格準拠
Ramboll社「Hiiumaa offshore Wind Farm Noise Modeling Report」(エストニア気候省、2022年):
https://kliimaministeerium.ee/sites/default/files/documents/2023-07/1510055015-001_Hiiumaa_offshore_Wind_Farm_Noise_Modeling_Report_2022.pdf
英語カタログ:Vestas V236-15.0 MW Offshore Brochure
日本語カタログ:Vestas V236-15.0 MW 日本語カタログ

なお、この「+2 dB安全マージン」の採用自体が注目に値する。エストニアの規制当局はメーカー公表値をそのまま採用するのではなく、不確実性を考慮した保守的な値を計算に使用している。これは日本の環境アセスメントにおける実務(メーカー公表値をそのまま使用)とは対照的であり、規制の慎重さにおいて差がある。
表15に、上記報告書から抽出した1/3オクターブバンド音響パワーレベルを示す。Z特性(重み付けなし)およびA特性の値はエストニア報告書の公表値であり、安全マージン+2 dBを含む。このスペクトルデータが、以降の全ての伝搬計算の出発点となる。
| 周波数 (Hz) | \(L_{WZ}\) dB(Z) | \(L_{WA}\) dB(A) |
|---|---|---|
| 10 | 125 | 54 |
| 12.5 | 124 | 60 |
| 16 | 124 | 67 |
| 20 | 123 | 72 |
| 25 | 122 | 77 |
| 31.5 | 121 | 82 |
| 40 | 121 | 87 |
| 50 | 121 | 91 |
| 63 | 121 | 94 |
| 80 | 120 | 98 |
| 100 | 120 | 101 |
| 125 | 119 | 103 |
| 160 | 118 | 105 |
| 200 | 118 | 107 |
| 250 | 117 | 109 |
| 315 | 116 | 110 |
| 400 | 115 | 110 |
| 500 | 114 | 111 |
| 630 | 112 | 110 |
| 800 | 111 | 110 |
| 1000 | 109 | 109 |
| 1250 | 108 | 108 |
| 1600 | 106 | 107 |
| 2000 | 104 | 105 |
| 2500 | 101 | 102 |
| 3150 | 99 | 100 |
| 4000 | 96 | 97 |
| 5000 | 93 | 93 |
| 6300 | 89 | 89 |
| 8000 | 86 | 85 |
| 10000 | 83 | 80 |
| 合計 | 134 | 120 |
注:帯域レベルは整数値で公表されているため、整数丸めに起因して合計値の算出結果と公表合計値の間に最大1 dB程度の差異が生じうる。
表15のZ特性スペクトルに、第8章で説明した各周波数重み付けの標準補正を適用すると、同じ風車の音源レベルが「ものさし」によって大きく異なる値を示すことがわかる。Z特性の合計が134 dB(Z)であるのに対し、A特性の合計は120 dB(A)で、差は14 dBあり、A特性はこの風車の全音響エネルギーの約96%を計算から除外している。C特性(第8.3節)で評価すると約130 dB(C)、G特性(第8.5節)で評価すると約136 dB(G)となり、いずれもA特性よりも10 dB以上高い。この差は、大型風車の音が低い周波数に強く偏っていることの直接的な反映である。
重要なのは、この重み付け間の差は音が遠くまで伝わるほどさらに広がるという点である。高い周波数の音は空気に吸収されやすいため、数キロメートルの伝搬後にはほとんど消えてしまう一方、低い周波数の音はほぼ減衰せずに到達する。その結果、受音点に届く音はさらに低周波に偏り、A特性が「見落とす」エネルギーの割合はいっそう大きくなる。この効果の定量的な評価は第12章で示す。
いすみ市沖計画では12 MW級から18 MW級まで複数の機種が想定されているが、現時点で周波数別スペクトルおよび保証値が十分に公開されている機種は限定的である。そこで本節では、15MW機のデータをもとに、ローター径が大きくなると騒音がどれだけ増えるかを理論とメーカー実測データの両面から検証する。
風車の騒音は、おおまかに言えば「ローター(プロペラ)の大きさ」と「先端の速さ」で決まる。ローターが大きくなるほど、また先端が速く回るほど、騒音は増える。
空力騒音の音響パワー(風が原因で発生する音のエネルギー)は、一般に以下の式で近似される。
ここで\(D\)はローター径(プロペラの直径)、\(U_{\mathrm{rel}}\)はブレードに対する代表相対流速(先端が空気と出会う速さ)、\(m\)と\(n\)はそれぞれの要素がどの程度効くかを表す指数である。
理論的には、後縁乱流騒音(ブレード後端の空気の乱れによる音)に関するFfowcs Williams–Hallの理論(Ffowcs Williams & Hall, 1970)は、ブレード1枚あたりの音響パワーが翼幅(ブレードの長さ)に比例し、かつ流速の5乗に比例すること、すなわち
を導く(\(R\)はブレード長さ、\(U_{\mathrm{tip}}\)は先端周速)。この理論のもとでは、一定の先端周速比(先端の回転速度と風速の比率)で運転する場合、ローター径のみによるスケーリング指数は\(m=1\)程度にとどまる。
しかし、実際の風車タービン設計においては、ローターが大きくなるにつれて先端の回転速度(先端周速)も上がる傾向がある。例えばV117-4.2MWの先端周速は約65 m/sであるのに対し、V236-15.0MWでは約85 m/sに達する。直径が大きくなるだけでなく先端も速くなるため、上の5乗則の寄与が加わり、この先端周速の共変動を含めた実効的なローター径指数は、純粋に直径だけで見た指数よりも大きくなる。
Vestas社の公式カタログ(V236-15.0MW技術資料、2021年)は、同一メーカー・同一測定基準のもとで複数機種の最大音響パワーレベルを公表しており、以下の実測データが得られる:
| 機種 | ローター径 | 定格出力 | \(L_{WA}\)(最大値) |
|---|---|---|---|
| V117-4.2MW | 117 m | 4.2 MW | 106 dB(A) |
| V164-9.5MW | 164 m | 9.5 MW | 112.9 dB(A) |
| V174-9.5MW | 174 m | 9.5 MW | 112.9 dB(A) |
| V236-15.0MW | 236 m | 15.0 MW | 118 dB(A) |
これらのデータから、各機種間の実効的な径指数 \(m\) を
として算出すると、以下の結果が得られる:
| 比較ペア | \(\Delta L_{WA}\) | \(\log_{10}(D_2/D_1)\) | 実効 \(m\) |
|---|---|---|---|
| V117 → V164 | +6.9 dB | 0.147 | 4.70 |
| V117 → V174 | +6.9 dB | 0.172 | 4.00 |
| V117 → V236 | +12.0 dB | 0.305 | 3.94 |
| V164 → V236 | +5.1 dB | 0.158 | 3.23 |
| V174 → V236 | +5.1 dB | 0.132 | 3.85 |
なお、V164-9.5MWとV174-9.5MWは同一の定格出力(9.5 MW)でありながら音響パワーレベルが同一(112.9 dB(A))であり、径の増大がそのまま騒音増加に反映されていない。これはV174が低騒音設計の最適化を施されている可能性を示唆しており、通常のスケーリングとは異なる特殊なケースと考えられる。
この特殊なペアを除くと、Vestasの公式データから得られる実効指数は\(m \approx 3.2 \sim 4.7\)の範囲にあり、中央的な値はおおよそ\(m \approx 3.5 \sim 4.0\)である。これは教科書的なスケーリング指数(\(m = 2 \sim 3\))よりも有意に大きい。その主な理由は、風車が大型化するにつれて先端周速も上がるため、Ffowcs Williams–Hall理論における「速さの5乗」の寄与が実効的な径指数に上乗せされるためと解釈される。
では、18 MW級(ローター径約260 m)の場合はどうなるか。V236-15.0MW(\(D = 236\,\text{m}\)、\(L_{WA} = 118\,\text{dB(A)}\))を基準に計算すると:
| 指数 \(m\) | \(\Delta L_{\mathrm{size}}\) | 推定 \(L_{WA}\)(18 MW級) |
|---|---|---|
| 2(教科書下限) | +0.8 dB | 118.8 dB(A) |
| 3 | +1.3 dB | 119.3 dB(A) |
| 3.5(Vestas 実効中央値) | +1.5 dB | 119.5 dB(A) |
| 4(Vestas 実効上限付近) | +1.7 dB | 119.7 dB(A) |
どの指数を用いても、18 MW級の推定音響パワーレベルは118.8〜119.7 dB(A)の範囲に収まる。本検討で採用した代表値\(L_{WA} = 120\,\text{dB(A)}\)は、この推定範囲の上端をわずかに超える程度であり、Rambollのエストニア沖評価報告書で採用された安全側補正(メーカー公表値+2 dB)とも整合する。すなわち、本検討で用いる\(L_{WA} = 120\,\text{dB(A)}\)は、スケーリング理論とメーカーの公式データの双方から裏付けられた、十分に慎重かつ妥当な代表値である。
なお、仮に将来さらに大きな290 m級の超大径ローターが採用された場合には、\(m = 3.5 \sim 4.0\)の範囲で3.1〜3.5 dB程度の増加が見込まれ、\(L_{WA} = 121\text{〜}122\,\text{dB(A)}\)に達し得る。将来的に対象機種の詳細データが公表された場合には、本前提は更新する必要がある。
これまでに確立した音源レベル(\(L_{WA} = 120\,\text{dB(A)}\)、安全マージン含む)は、IEC 61400-11に基づく最大騒音条件(すなわち地上10 m基準風速11 m/sの強風時)に対応する。しかし、いすみ市沖では年間を通じて常にこの強風が吹いているわけではない。本節では、第9章の風況データに基づき、年間平均風速条件(風がもう少し穏やかなとき)における騒音レベルがどれだけ下がるかを推定する。
エストニアの報告書に記載された「11 m/s(地上10 m基準)」は、IEC 61400-11 の規定に基づき、地上10 mの風速計で実測された値である。V236-15MW のハブ(ローターの中心)は高さ146 mにあるため、べき乗則プロファイル
を用いてハブ高さ風速に換算できる。ただし、IEC測定サイトの風速指数 \(\alpha\) は不明であるため、開放平坦地の典型値(\(\alpha = 0.10 \sim 0.14\))の範囲で推定する。
| 測定サイトの \(\alpha\) | ハブ高さ風速の推定値 |
|---|---|
| 0.10 | 14.4 m/s |
| 0.12 | 15.2 m/s |
| 0.14 | 16.0 m/s |
いずれの場合も、ハブ高さ風速は V236-15MW の定格風速(約10.5 m/s、ハブ高さ基準)を大きく上回る。定格風速以上ではピッチ制御により出力が制限され、騒音レベルはほぼ一定(最大値)に保たれる。したがって、エストニア報告書の118 dB(A)(安全マージン加算後120 dB(A))は、定格風速付近の最大騒音を代表する値と解釈できる。
第9章で示したとおり、NEDO NeoWins のデータに基づくいすみ市沖3 kmにおける年平均風速は以下の通りである。
高度140 m:約8.0〜8.5 m/s(代表値8.25 m/s)
この平均風速はV236-15MWの定格風速(約10.5 m/s、ハブ高さ基準)を下回る。つまり年間平均風速条件において風車は全力運転ではなく、風速に応じて回転数を変える、定格以下の「可変速運転」をしている。回転が遅くなれば先端の速度も下がるため、騒音も小さくなる。
定格風速以下では、風車は「最適先端速度比(TSR)」を保つように制御される。TSRとは「先端周速 ÷ 風速」の比率のことで、V236-15MWの場合はTSR \(\approx 8.1\)で一定に保たれる。TSRが一定であれば、風速が下がると先端の速さもそれに比例して下がる。V236-15MWの場合、定格時の先端周速は約85 m/sだが、風速8.25 m/sでは約67 m/sに低下する。
空力騒音の音響パワーは先端周速の \(n\) 乗に比例するため(第7.3節段落(5) 参照)、風速変化に伴う音響パワーレベルの変化量は
と表される。ここで \(V_{\mathrm{avg}}\) は年平均風速(ハブ高さ)、\(V_{\mathrm{rated}}\) は定格風速(ハブ高さ)である。可変速運転域ではTSRが一定に保たれるため、先端周速比は風速比に等しく、上式はそのまま適用できる。
\(V_{\mathrm{avg}} = 8.25\,\text{m/s}\)、\(V_{\mathrm{rated}} = 10.5\,\text{m/s}\) として、速度依存指数 \(n = 4 \sim 6\)(Ffowcs Williams–Hall 理論による後縁乱流騒音では \(n = 5\) が典型値)の範囲で計算すると、
| 速度依存指数 \(n\) | \(\Delta L_W\) | \(L_{WA}\)(年平均風速時) |
|---|---|---|
| 4 | \(-4.2\,\text{dB}\) | \(115.8\,\text{dB(A)}\) |
| 5(典型値) | \(-5.2\,\text{dB}\) | \(114.8\,\text{dB(A)}\) |
| 6 | \(-6.3\,\text{dB}\) | \(113.7\,\text{dB(A)}\) |
なお、空力騒音のスケーリング指数 \(n\) が周波数帯に対して大きく変化しない限り、各帯域の音響パワーレベルは同一量 \(\Delta L_W\) だけ低下し、スペクトル形状は保存される(第7.3節段落(5) の導出を参照)。したがって、年平均風速条件のスペクトルは、定格条件のスペクトルを全帯域にわたり4〜6 dBだけ下にスライドしたものとして近似できる。
エストニア報告書には Siemens Gamesa SG 7.0-167 DD(ハブ高さ110 m)の騒音データも記載されており、同機種では「地上10 m基準で風速8 m/sのとき111.2 dB(A)、10 m/s以上で115.0 dB(A)」と報告されている。この2条件の差は3.8 dBである。
ただし、この3.8 dBは地上10 m基準で8 m/sから10 m/sへの変化に対応する。いすみ市沖の年平均風速(ハブ高さ140 mで約8 m/s)を地上10 mに換算すると約5.5 m/s(\(\alpha = 0.15\))であり、SG の最低報告風速(10 m基準で8 m/s)よりもさらに低い。したがって、SG のデータで直接的に検証することはできないが、本検討で推定した4〜6 dBの低減量がSGのより狭い風速範囲における3.8 dBを上回ることは、より広い風速範囲をカバーしていることを考慮すれば自然な結果である。
以上の分析から、年間平均的な風速(ハブ高さ8 m/s付近)のときの大型風車の音源レベルは、定格(最大出力)時から約4〜6 dB低下すると推定される。
| 条件 | \(L_{WA}\) | \(L_{WZ}\)(推定) |
|---|---|---|
| 定格出力時(強風時・最大騒音) | 120 dB(A) | 134 dB(Z) |
| 年平均風速時(平均的な日) | 114〜116 dB(A) | 128〜130 dB(Z) |
上記の値は、いすみ市沖計画で想定される12〜18 MW級(ローター径約222〜260 m)の全機種に統一的に適用する。前節のスケーリング分析が示すように、この径の範囲における騒音レベルの差は2 dB以内であり、いずれもVestas V236-15MWのカタログ値118 dB(A)に安全マージン+2 dBを加えた120 dB(A)で代表できる。将来、より大きなローター(290 m級等)が採用される場合には、\(L_{WA} = 121\text{〜}122\,\text{dB(A)}\)への上方修正が必要となる可能性がある。
この結果は、後続のシミュレーション(第11章)において、定格出力時(フル出力条件)および年平均風速時の音源レベルの根拠となる。
定格条件と平均風速条件の差は4〜6 dB(エネルギー比で約2.5〜4倍)であり、「風が弱い日は静かになる」という期待を完全に否定するものではないが、その効果は限定的である。114〜116 dB(A)は依然として航空機エンジンに匹敵する音源レベルであり、年間の大半の時間帯にわたりこの水準の音響エネルギーが沖合から放出され続けることに変わりはない。